No.2 靴紐が解けると不安になる
歩いていて、靴紐が解けていることに気づく、そんな時にも不安は顔を出してきます。
靴紐は、人によってしっかり結んでいる人と、まあざっくり足から靴が脱げない程度に結ばれているのと、分かれてくると思います。
僕は後者なのですが、僕は結ばれている靴が当たり前で、靴はスリッパみたいに履けるものだと思っているところがあります。だから、靴紐はほとんど触ったことがなく、靴を買った時に結んでから、ほとんど触れません。
履けていると思っていた靴、その紐が解かれるとどう変わるでしょうか。別に紐が解けていようが、履けていることにあまり変わりありません。しかし、紐が足の下でヒラヒラしていることが、どうも目につくのです。だから不安になります。
ヒラヒラしているあの感じ、これまでは視界に映らなかった異物感、ここに不安のヒントがありそうです。これまではヒラヒラしていなかったので、その靴を買って行った時から、まとまりのある足が見えていたはずです。それが、急に別の姿に変わる。
自分がこれまでちゃんと履いて来たのに、いつの間にか解けているのです。いえ、履いて来たつもりだったのに、です。ここには、その足で歩いてきたのに、生じてしまった感覚があります。あの時、この靴を買おうと決め、そこから僕の足になったあの靴が、まとまりを崩し始めてしまった。。。。
でも、その靴紐はまた結び直すことができます。ちゃんと解いてから結び直すか、解けたところだけ直すかは人それぞれですが、そこで人はしゃがむことができます。その時、僕は改めて、その足の靴を間近でみるのです。汚れています。買ったばかりの色もどこかに飛んでいってしまいました。だからこそ、また強く、靴紐を結べるのです。自分の足が、またちゃんと歩き始めます。
靴紐が解けると不安になるのは、これまで歩いてきた汚れとともに、再び歩み始めたい、そんな気持ちをお知らせしてくれているからです。
*同じアカウントで、別のブログに投稿していた内容です。