No.8 雲にのってみる〜空全体の隙間風〜
仕事終わりに夕焼けの空がみれると、プチ幸せな気分になります。
落ちかけている夕日が、雲に反射して、空の輪郭を浮かばせます。
みなさんは、どんな空が好きでしょうか。真っ青な空が好きな方は多いでしょう。対して、一面曇りであるのは、好きな人は入るにしても、あまり人気がなさそうです。
僕は、雲がないのも、雲だけがあるのもどちらも好みません。僕は、雲がぽつぽつあるのが好きなのです。その空はなんて呼べばいいのでしょう。あまり浮かびません。いわゆる普通の空みたいな感じです。しかし、いい感じの散らばり具合というものがある気がします。
ただ僕はそもそも、空全体が気になっているより、空を背景とした雲が気になっているようです。壁みたいな空に付着した塊のようなものが、好きなんだと思います。
雲をそうみてみると、雲の中身に皺があることに気づきます。それも、折り紙のように重なっている。そのいつでも散らばって弾けてしまいそうな状態にもかからわず、しゃんと形を維持しています。
しかも、気づかない間にゆっくり動いている。形ばかりをみていると、ああぁ、もうあんなところまで飛んでいっていたのかと、驚かされます。ゆっくりなのに、はやい。
綿菓子を思い出しました。
綿菓子も、シワシワで、層もふわふわ重なって、ぽわんとした塊です。そして、何たってゆっくり食べれそうなボリュームです。みた瞬間、幸せな気持ちになります。綿菓子みたいな気持ち。でも、食べると一瞬で溶けてしまう。一瞬で、甘さが飛んでってしまいます。舌に残るはアメだけで、こんなものかと思ってしまう。これもまた、ゆっくりなのに、はやい。
ただ不思議なのは、2個目を食べようとは思わないということです。一個で充分である。気持ちが充実したんです。食べてみたらこんなものでしかないが、こんなものでもある。そんな心地になります。だから、お腹が膨れたのではないのです。むしろ胃が動き出して、鳴り始めるかもしれません。
雲をみても、似た気持ちになります。そこに浮かんでいるのは空っぽだとわかっているけど、ボーッとみていられる。みながら何をしているかというと、なにか、詰めているんじゃないでしょうか。憧れとか、懐かしさとかの、遠くの思いです。
僕は、雲をみるたびに、自分の気持ちを運んでもらっているんだと思います。
ゆっくりと、はやく。