2023-10-15 【短話】草原の晴れ ショートストーリー 晴れた日のこと。お日様が焼いた。座っている側で、草がしなっていく。暑い。オゾン層が一枚剥がれてしまったみたい。 紫色に空が押し寄せてきて。飛んでいる鳥が低空飛行して。木はテッペンを垂れ下げていて。ベンチに誰かが座り始める。 歩く元気がなかったから、這って向かう。ベンチの人は、座れない私をじっとみる。手を差し伸べてくれるわけでもない。ちょっと笑って肩を揺らして。足元にいる私を無視して。さっきの場所にいた蝶々を眺めている。黄色の蝶々。ピンク色に染め上がっていく蝶々。