【短話】雑草
今日も俺は、悪いことをしにいく。
近くの公園だ。
そこで俺は、雑草を踏むのである。
いや、踏み付けるのである。
そして、その足跡がどれくらいくっきり残ったかの程度で、今日の点数をつけるのである。
雨の日の翌日であれば、よく跡が付くので、俺は雨が好きだ。
雨の雫がお化粧している雑草も好きである。
それをみたら俺は興奮する。
ああ、俺は今から、あの綺麗な桃源郷を、このスニーカーで、茶色くこけたスニーカーで、今から踏み散らかすのか。
けれど、実際は一踏みしかしない。
それは、俺の気が小さいからとも言えるが、一応、良心というのを持ち合わせているからだ。
ある日、人口芝をみつけた。
初めてだった。
こいつは、踏みつけていいのか。
だって、あの人間様が植えた芝だぞ。
隣の芝は天然芝だが、こちらの芝は作りもの。
芸術ではないか。
すると側で、小便しているおっさんがいて、俺はそいつの踵を踏みつけた。