【短話】仮眠
チカチカと時計の針が鳴る中で、漫然とテーブルに相対す。
そこに置かれた手のひらの鉢は、エアコンが打ちつけ、先々揺れるアスパラガス。
水道水をひねり、計量カップにドバドバいれる。
入れ過ぎであるとわかりつつも、てきとうなところでテーブルに持って、そいつに注いでやる。
これもまた注ぎ過ぎであるとわかりつつも、ため息で一段落、鉢を眺める。
すると、だんだん瞼が落ちを繰り返し、上半身がテーブルに沈み行く。
暗いのに橙色が滲んだような平面で、どこどこどこ、リズムがうってうつうつうつと鳴っている。
呼ぶともなく羅生する、散らばけていく無弾の風。
陽光が隅々に折り込み、のっそり伸びていく背中に、寝ても覚めてく立ち姿。
もう少し寝たいと思ったが、そのまま天井へ反転するかのごとく、思い出のしみ染みを、無数の口からぽつぽつぽつっと、霧散さす。