【短話】子どもの輪
時計の針が十五時半を回りました。
学校の玄関から次々と、子どもたちが跳ね飛んでいきます。
楕円のグラウンドで各々がグループを作り遊んでいます。
最近流行っている遊びは、誰かが中心に立って、その周りを他がぐるぐる回る遊びです。
一番楽しいのは、中心の役。
みんなが手を繋ぎ、回転を次第に速くして、広さを大きく、腕がはち切れんばかりの状態に勢い保ち、一人一人の顔が他と一緒に、誰が誰だかわからなくなる、その眩暈がいいのです。
この体験を味わいたいと、子どもたちは誰が中心かで躍起に喧嘩するほどでした。
ある日また喧嘩をしていると、飼い主からはぐれた犬が中心に入ってきました。
子どもたちはそれでも面白そうということになり、回転を始めようとします。
と、先に犬が回転し始めました。
そこで子どもたちは勢い、ドミノみたいに倒れてしまいましたとさ。