1ルーム

色々な1ルームを作って、シリーズ投稿しています。

No.1 マスクから鼻が出ていると不安になる

不安は、具体的な状況を浮かべないと顔を出してくれません。

例えば、マスクから鼻が出ている場面を想像すると、僕は不安になります。つまり、もうそこに不安が来ているわけです。そこで、そいつはどんな顔をしているのか、不安のカタチを探ってみましょう。

そもそもマスクをしているのは、このご時世、感染しないようにです。感染させないように付けているとおっしゃられる方もいますが、僕の感覚としてはどうも、感染しないように付けている方の方が多い感じがします。防ぐためにマスクをしています。少なくとも僕は感じています。

しかしそんな中、あくびをすると顎に引っかかり、つい鼻が出てしまうことがあります。最初、鼻が出るのは仕方ないかと思い放っておきますが、だんだん鼻で空気を吸っているうちに、不安が出てきます。もちろん、感染してしまうのではないか、という恐れもあるのですが、どうもそれ以外に、よくない状態を感じています。どうやら、鼻を周りに見せている状態が、何かよくないことなのです。

鼻で息を吸うのはよくやりますが、鼻で息を出すことはあまりしている感じはありません。口の方が息を出しています。だから、鼻を出していても相手側にはあまり問題にならないのではないかと思ってしまいます。防ぐという理由だったらです。それでは、それ以外で考えられそうな理由は何か。。。それはもしかしたら、口のない鼻がありえないからではないでしょうか。人の顔としてです。鼻と口は一緒になくなってもいいが、無くなるならどちらかではだめ。正月におたふくの遊びがありますが、あれで口か目がないと、どちらも奇妙な感じになってしまいます。

そう考えてみると、マスクから鼻が出ているのは、マスクの中にあるはずの口を想起させるようで想起できない、どっちつかずの状態になってきます。口があるかどうかを目で確かめることはできないが、同時に、口と一緒にあるはずの鼻は見えているからです。そうやって周りの人は、あなたのマスクの中には、果たして口があるのかないのか、もっと感覚的には、「あなたは喋れるのか喋れないのか」がわからなくなっているのかもしれないのです。

そして鼻を出す側は、周りに喋れるかわからない気持ちに持っていくことで、自分が喋ってもいい状況を作っている可能性があります。例えば、鼻を出している人が突然話すのと、鼻を出していない人が突然話すのを比べると、前者の方が驚きません。それは、話しかけられる側が、喋るかどうかの気持ちになっているからです。

つまり、マスクから鼻が出ているときに出てくる不安は、今の喋れない状況に、どうにか口を付けたい、喋りたい雰囲気を、教えてくれているかもしれないのです。

どうでしょうか。不安って、意外といいやつではないでしょうか。

 

*同じアカウントで、別のブログに投稿していた内容です。