No.4 ネコの日
寝過ぎても
世の人は、寝れば寝るほど体力が回復すると感じているかもしれない。
実際に寝過ぎれば、体力はむしろ奪い取られている。
そんなことがないという方は、とことん寝たことがあるのだろうか。
寝る暇がないのかもしれない。
いや、実際に寝れる時間はたくさんある。
時間は作れるという言葉より、寝るは作れるという言葉の方が説得感がある。
寝る隙間は、毎日至るところに空いている。
まあそれも、実際に寝てみなくてはわからないことではある。
寝てはじめて、寝ることがわかる。
起きるために寝ることはできない。
寝ることは寝るためにある。
世間の悩みである、寝れないという現象は、起きるために寝ようとしているからであって、寝ることができていれば、起きることには悩まない。
目覚ましなんかで起きなくていい、そんな生活を思うと、僕はよだれが出るほど羨ましい。
いつも起きた時に枕についているシミを、僕は寝る前に確認する。
「寝ることと、寝過ぎることは違う」。僕のおやすみの言葉である。
寝れなかった日
みんなが好き放題寝れる日が来れば楽しい。
待ち合わせなんかも10分前に来なくていい。
もし遅刻したらと、急いでいる一分一秒、僕の頭は汗をかく。
その汗は額から目に入り、涙となって、口に入る。
心配したのか、ネコの鳴き声が聞こえた。
寝れなかったのか、ネコはそう言った。
「遅刻しそうで、今日は寝れなかったんだ。寝過ぎたらいけないし、寝るのはもっと怖いし。」
口からよだれを流して僕はそう言った。
ネコはまた鳴く。よだれは、足元に溜まり始める。
ふいに、その場でジタバタしたくなった。
そこで足を滑らして。
「ネコの歩き方」シリーズは、下記の欄からご覧いただけます。