1ルーム

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毎日、土日の作り方 最終章:子どもを垂らす

        

 

透明な液体に垂らす色

 この文章も、終わりに差し掛かってきました。ここで目指してきたことは、土日への姿勢づくりです。それは、平日と土日の両方の時間に及びます。すなわち、毎日、土日の姿勢を作っていく。
 自分の中に、平日の自分と、土日の自分をうまく同居させておきたいのです。平日の自分だけにしない。土日だけの自分にしない。平日だけだと、毎日忙しい。かといって、土日だけだと、毎日ボーッとし過ぎてしまって、お仕事どころじゃない。
 土日の楽しさと、平日の忙しさを、両立させること。特に、平日の忙しさの間に、土日の楽しさを醸成していくことです。実際の土日は、平日の忙しさにすぐ心奪われてしまうからです。土日を、みんな忘れてしまっている。
 そこで、土日を忘れないために、平日の時間を活かす方法を考えていきました。平日の時間に、土日の時間をじわっと染み込ませる方法です。これまでなんともなかった透明な液体に、色のついた絵の具を垂らしてみるのです。


すぐ透明になる液体

 平日の時間は、とっても強いものです。僕はとってもそれに苦しめられてきました。要するに、仕事を次々にこなすよう、仕事をすることが、時間を過ごすことでした。仕事が、時間でした。
 逆に言えば、仕事をしていないなら、時間を過ごしていないということでした。平日という時計は進むが、仕事ができていないなら、自分の時間がその分進んでいないことになる。一生懸命、仕事をしました。
 息をつく間ももったいない。仕事をたくさんこなして、はやく動けるようになって、同時並行でいろんなことができるようになる。そんな、ピョンピョン跳ねるような動きができることが、仕事ができる人の理想像でした。
 けれども、それは身体が休もうとするのを拒みます。動き続けることばかりが大事だからです。そこに身体が強制的に休もうとするから、朝起きるのが辛かった。起きたくなかったが、起きるしかない。こうやって寝ている時間も、もったいないからです。平日という透明な液体には、別の色が入ってもすぐ透明になっていく。


一定のタイミングで垂れ続ける色

 寝たいのにこれ以上寝れない。目覚ましで起こされる毎日。そんな日々が嫌になってきました。なぜ、そんなにしてまで会社に行くのだろう。なぜ、こんなにしてまで働こうと思うのだろう。もっと、ゆったりしていた時間ってなかったっけ、そう思いました。
 仕事のない土日ですら、僕にとってはゆったりしていませんでした。前日の金曜日の夜に、とにかく何かすることを考えて考えて、土日にたくさんやるのでした。あらん限りにことをやる。そうしないと、何かいけないような感じがした。
 焦っていたのです。誰に言われることもなく、次々、自分が動くことが、時間を刻むことだったのです。これでは、平日と一緒じゃないか。僕はいよいよ、土日ならではの、時間の刻み方を探す必要に迫られました。
 土日の時間は、ゆったりしている。けれど、何もしていないわけじゃない。つまり、一つ、一つのことを、大事に続けている。すぐ次のことをやって、前のことは忘れてしまうのではありませんでした。また次にやるために、今のことをやるのでした。透明な液体には、色が、一定のタイミングで垂らされ続けている。


色を入れ過ぎてはいけない

 一つ一つのことをやる、この一つを、習慣と呼びます。土日は、この習慣の束から成り立っていました。歯磨きは毎日の習慣ですが、絵を描くことや、文章を書くことなどは、土日にしかできない。つまり、土日だけの習慣のことを言っています。
 この習慣を作っていくことが、土日の時間を作ることにつながる。あれこれするのではなく、あれと、これとをする。それが、その日を彩っていく。ごちゃごちゃして真っ黒にはなりません。音楽のように、なだらかな変化が過ぎていく。
 そんな習慣たちで満たされた1日が、充分となります。ここで、土日の時間へ舵を切るタイミングがやってくる。要するに、習慣のために土日があるのではないのです。充分な土日のために、習慣があるように思えてくる。
 習慣がたくさんあれば、その日は充実するでしょう。けれども、僕が目指しているのは、あくまでもその日が充分であるということなのです。透明な液体には、必要な色の入れ方があります。いろいろな色を入れたら楽しいからと言って、結局濁らしてはいけない。


色々な色のちょうどよさ

 土日の1日には、必要な習慣があります。頭ではなかなかわからないけれど、身体はちゃんとわかっています。なので、土日が毎回来るたびに、自分のすることが習慣かどうかを確かめて過ごすことになります。
 僕がそういうことを試してみてわかってきたのは、習慣の数が定まっていくということです。最初は、やはり色々やってみたくなる。習慣となる候補の数はとても多くなります。けれど、だんだん、これくらいでいいかと、習慣の数が落ち着いてくるのです。
 もちろん、少なくなりすぎることもあります。その時は、また別の候補が新しく出てくるので、やってみる。そんなふうにして、小さな前後の揺らぎがあったあとに、自ずから自分の数がわかっていきます。
 それらの習慣は、互いに違います。僕の場合だと、絵を描くこと、文章を書くこと、ギターを弾くこと、本を読むことの四つに落ち着いています。液体に垂らす絵の具は、いろいろな色だけれど、丁度よく注ぐことです。


絵の具がみつからなくても大丈夫

 僕には今話したように、四つの習慣があります。これらはしていることが違いますし、その習慣の背後に、自分のテーマのようなものが存在しています。それを、自分の性と呼びました。
 絵を描くことなら、記憶力という性に向かっています。本を読むことなら、イメージする性に向かっている。習慣が起こるには、これらの性が必要でした。自分が記憶力を育みたいから、絵を描いたりしていた。
 逆を言うなら、絵を描くことじゃなくてもよかったんです。たまたま、今は絵を描くことを習慣にしているだけなのです。つまり、習慣も時間が経てば変わることがある。理由もなく飽きることもあれば、ちょっとその習慣が身体に合わなくて、習慣にしなくなることもある。
 習慣は、続いていくことですから、やりたくなくなる自分に戸惑うかもしれません。けれどそれは、とっても自然な反応です。それに、自分の性はなくなりませんから、安心して欲しいのです。液体に注ぐ絵の具がみつからなくたっていいのです。違う絵の具を入れてみたら、案外前よりいいかもしれません。


絵の具が混ざり過ぎた状態

 習慣は、そんなふうに自分の身体の中で出たり入ったりするものです。今日やったことでも、明日はやりたくなるなるかもしれない。昨日やりたいと思ったことでも、今日はやりたくないかもしれない。結構気まぐれなやつなのです。
 それくらい、習慣というのは柔らかいものですから、その習慣をするたびに、自分の身体が気持ちいいのか、ちゃんと確認しましょう。ちょっとしんどいなと思えば、時間を短くしたり、やる内容を変えてみたりしてください。
 習慣とはやり方のことです。やり方以外のことを変えてみる。文章を書くのでいうなら、書く時間を2時間から1時間に減らしてみたり、エッセイじゃなくて小説を書いてみたりするようなことです。それでまたやってみて、自分の身体の反応を確かめていく。
 時には、今日は全く、その習慣をやらないと思えることも大事です。本当に何もしたくない時もあるんです。そういう時に色々考えても、結局よくわかりません。身体の反応ですから。僕たちが頭で理解できるのは、疲れているかどうかです。もしかしたら、液体に絵の具が混ざり過ぎているからかもしれません。これ以上色を入れたら黒くなっていくからです。


絵の具はパレットに

 身体はわがままです。いろんな習慣をやろうと思ったり、手放したりします。頭の方は、それに追いつけなくなる。だから、ヘタに同じ習慣を繰り返してしんどくなったり、本当は必要な習慣をやらずじまいで中途半端な気持ちになったりします。
 そこで、頭だけで考えることをやめる。すなわち、目の前に書き出すことをやります。TODOリストの作成です。習慣のリストを作っていくのです。習慣一つが、TODO一つです。
 僕の場合だと、今、四つがリストにある状態です。そして、それをやってみて、気づいたことをTODOごとに書き加えていく。それを元に、時間を変えたり、内容を変えたりして、自分なりのTODOにしていくのです。
 頭だけで考えず、目の前に文字として残す。こうすることで、その項目を目にした身体の反応を、頭で観察することができます。例えば、「文章を書く」というTODOを見た時に、ちょっと身体が気負ってるような感じがしたりするのです。それで、今日はちょっと短めにしようかなと思ったりする。そんなふうに、TODOリストは、身体の観察装置なのです。液体に絵の具を注ぐ前に、絵の具はパレットに用意する。そこから、使いたい色を考えるのです。


単純でわかりやすい色の絵の具

 TODOリストが必要なのは、頭だけで自分の行動を管理しきれない、調整しきれないからです。身体の反応と、頭はすごく乖離している。だから、その間に何かを挟む必要がありました。しかし、なぜ乖離しているのか。
 TODOリストがなければ、頭は身体が疲れていることすら忘れてしまう。どんどん、無茶をしてしまう。これは、不安だからです。不安が身体に命令をしてしまう。つまり、土日をうまく過ごせないという不安です。
 僕たちは、平日を過ごすことばかりに慣らされてきました。けれど、事実として土日はやってくる。時間がたっぷりあるあの二日間がやってくる。だから、土日を過ごす機会は与えられている。有効に使わなくてはいけません。
 この有効に、というところが、不安を生み出します。自分ですぐ意味のあることをしようとする。意味がすぐわからないことはできない。そこで、次々に、何かしたかのような、色々なことをやってしまうのです。パレットなしで絵の具を使うと、それらの絵の具は単純なわかりやすい色ばっかりで、液体はすぐ濁ってしまう。


描く姿勢

 有意味なことをしている自分を、絶えず感じなくてはいけない。そういう人は、働き者ではありますが、外からみていてしんどいところがあります。自分ではなかなか気づけない。だから、自分で自分を見返すきっかけが必要になってくる。
 そこで、意味がある、意味があると思っている思考を、一旦、言葉にしてみます。言葉は、頭の中から外に出ますので、不思議と自分のものではなくなる。意味があると思っていたことを、前の自分として受け取れる。その受け取っている自分は、もう別の自分です。
 かつてそう考えていた自分は、言葉を通して観察をすることができる。そうすると、あ、いまちょっとやり過ぎているなとか、なんか本当にやりたくてやってないなとか、不安に基づいて動いてしまっている自分の姿が、その言葉の背後に浮かんできます。
 不安は知らない間にどんどん自分を駆り立てます。その分、行動もどんどん出てくる。そうすると、不安はもっと早い反応をして返ってくる。その往還を、言葉の緩衝材で緩めていく必要があります。絵の具にパレットを用意するのは、絵の具を使う前に、一度、描く姿勢を作るということでもあるのです。


いろんな絵の具の付いたパレット

 不安を言葉にしていくことで、不安にそそのかされる自分の姿が少しずつわかってくる。輪郭が、少しずつはっきりしていきます。ただ、この時ちょっとしたコツが必要であって、それによって、輪郭ははっきりしているが空っぽな自分しか出てこないか、より内実のある自分になってくるか、分かれてきます。
 それは、言葉にするときに、どうなっているか、という観点で言葉にしていくということです。「昨日寝過ぎたなー」という不安があったとします。ここから、より一層不安を掘っていきたい。「昨日夜何してたかなー」、「ベットにいてー」、「何か考え事してたかなー」、「あー友だちと喧嘩しちゃってたことを思い出してたなー」、「謝らなきゃなー」。
 こんなふうな、深掘り方をすると、内実のある自分がどんどん出てきます。逆に、そういう観点を踏まえないままだと、あまり自分というのが出てきません。不安自体、とっても抽象的ですし、思考することも抽象的です。そこから出てくる言葉は、自ずから抽象的になってしまう。出てくる自分は、ずっと空っぽのままだったりする。
 具体的に言葉にしていくことです。不安を塊のまま捉えるのではなくって、言葉で少しずつ切り込んで、少しずつその形を確かめていく。パレットにつける絵の具は、一色だけではいけません。実際に使わないとしても、何色も用意しておきましょう。そうやって、いろんな色を少しずつ使っていきます。


絵の具の用意

 その不安を絶えず具体化していくことが、土日を過ごす安心につながります。なぜなら、どうなっているかで考えた先には、どうするか、が出てくるからです。先ほどの例で言えば、「謝らなきゃなー」という発言に該当します。
 そうやって出てきた自分のすること一つ一つが、TODOリストに入ります。そして、そのすること一つ一つを生み出すために、浮かんだ不安を言葉にしてくようにすることです
 不安は土日以外にも、常に出てきます。それを逃すと、またすぐ同じ不安がやってくる。なので、いつも言葉にできるようにしておいた方が楽です。とにかく言葉にしてまえば、不安は同じ形を取ってやってくることはありません。
 不安を言葉にしていくことが、平日でもできることです。そこで生まれてきた、自分のすることが、土日をうまく過ごすための習慣になります。パレットにつける絵の具は、普段からよくよく揃えておくと安心です。よく観察していれば、その色調の微妙な違いもどんどんわかってくるのです。


絵の具を揃える時間

 平日は仕事をする時間です。朝、目覚ましで起きて、会社に行き、同僚と一緒に働きます。会社に行かないことはいけません。みんな働いているのにです。働かない自分は、あってはいけない。だから、会社に行って、仕事をします。
 ただ、会社に行って、ずっと仕事をしている時間があるかといえば、そうではありません。例えば、お昼休みがあります。お昼休みは、ちゃんと休む必要があります。仕事から手を止めることです。
 その時間は、人と話したり、ちょっと外食に行ったり、過ごし方は自由です。ただボーッとすることだってできます。僕なんかは、家が近かったので、家に帰って昼寝をしていました。
 こんなふうに、平日にでも、仕事でない時間はあります。その時間は、仕事にまた精を入れるためのインターバルではありますが、休める時間があることは事実です。そして、この時に、土日にすることを考えてみるのです。パレットの絵の具を揃える時間は、平日にあります。


絵の具をチューブに

 仕事の休み時間は、もう何も考えずボーッとしたい、そんな人もいるかもしれません。それなら、仕事帰りにちょっと考えるのはどうでしょうか。土日のことを考える機会は、探せばいろんなところにあります。
 仕事中の雑談なんかもそうです。何を食べたとか、前の土日どこ行ったとか、そんな他愛のない会話からも、土日のヒントが隠されています。自分だけでは浮かばないことも、人と話せば出てくるものです。
 人と話さずとも、Twitterやネットニュースでも色々な情報が入ってきます。こんな料理を作ってみたとか、今流行りのスポーツは、最近開店したお店など、気になる情報はいろんなところに落ちている。
 問題は、それらをちゃんと拾えるかどうかです。拾って、土日にできるように、自分が実際にすることができるように、必要なことを考えることです。パレットの絵の具は、いたるところに落ちているが、ちゃんとチューブに入れなくちゃいけません。


1色ずつ揃えていく

 平日に拾える色々な情報は、それだけでは使い物になりません。なので、土日にすることへ、変換していく処理をしなくてはいけない。ここでも、言葉を使ってしまえばいいのです。どうなってるかという観点で、です。
 例えば、海、という情報だけを拾ったとします。ここから、土日にすることを考えてみる。「海」「どんな海」「穏やかな海」「夕陽のある海」「夕刻にいく」「夕刻にいける距離の海」「交通手段は電車」「駅から歩いていける海」「何時何分の電車でこの線に乗る」「帰りの電車は何時何分」「21時までには家に着いて22時には寝れる」。
 こんなふうに、平日の仕事のことも考えて、疲れ過ぎないよう寝る時間も考慮に入れて、土日にすることを考えていきました。その時に、どうなってるかという観点を無視してしまうと、「海」「綺麗な海に行きたいなー」とかって思うだけで、思考が停止してしまいます。
 いろんな情報が溢れるからこそ、具体的に考えていく思考も難しくなっているのかもしれません。できるだけ意識的に、一つのことだけを取り上げて、掘り下げていくのがいいでしょう。揃えていく絵の具は、一色ずつにします。


絵の具を作るパレット

 拾った情報は、一つ一つ、別に別に分けながら深掘りしていきたいものです。頭だけでそれができれば結構ですが、僕の場合はそれが難しかった。そこで、メモリストを使いました。
 気になった情報は、まずスマホのメモにしていきます。それで、その情報について深掘りができそうであれば、項目を作って、箇所書きで言葉を付け足していく。そうして最後に、土日にすることに辿り着き、TODOリストに加えます。
 メモリストにしておくと、いつでも見返すことができます。昨日の昼休みに考えたことでも、また今日も、そのことについて考えることができる。少しずつ、自分の土日を形成していくことができるのです。
 もちろん、付け足していく言葉の情報量も増えていきますから、ややこしくなってきたら、一つにまとめたり、別の項目に移したりして、整理します。そうやって、何度もこねくり回せるのが、メモリストの良いところです。絵の具は、1色ずつ揃えていくのではありますが、その色は、自分の好きな色にしていける。そのためのパレットもある。


色作りの順番

 平日は、仕事をする毎日ですが、メモリストをいじる毎日にもなっていきます。ちょこちょこ付け足しては、仕事に戻る。メモリストの項目は、どんどん増えていきます。
 そうすると、今度は数が多すぎて、手に負えなくなってきてしまう。これは時間の問題です。項目同士を一つの項目にしなおしても、やっぱり休み時間には全て見きれない量になってくる。
 そこで、優先順位をつけました。スマホでメモを取ると言っても、項目ごとに入れ替えられるようなアプリを使っていました("workflowy")。まず、項目をざっと全部眺めるのです。それで、気になる順番で並び替えた後、これまでと同じように、項目の中で、言葉を付け足していくのです。
 僕は、毎日並べ替えています。気になることは、毎日変わっていきます。自分でも予想できなかったぐらいに、変わっていく。昨日はあんなに熱中してたのに、今日は全然気にならない項目だってたくさんあります。色作りのパレットで作る絵の具には、毎日、作る順番があるのです。


色作りの候補

 メモリストの項目で優先順位を決めたとしても、項目数が多ければ多いほど、全ての項目に付け加えていくこともやはり不可能です。それで休み時間がしんどくなっては、元も子もない。
 そこで、優先順位を決める範囲を、最初に定めてしまいます。つまり、最初に、並び替える項目をピックアップしておくということです。ピックアップする基準はなんでも構いません。全項目をざっと眺めたときに、気になるもの、という感じで選んでもいいですし、今週土日に実現したいこと、という感じでもいいかもしれません。
 とにかく、最初に並び替える母数を減らすことが大事です。そうすると、ずっと選ばない項目も出てくるでしょう。でも、それでいいんだと思います。毎日、選ばない状況が続くのなら、それは本当にもう検討する項目ではないということですし、しばらく経って、ちょっとのぞいてみようかなと思う項目になったりもします。
 こんなふうに、毎日、ピックアップして、優先順位を並べてから、編集していっています。色作りのパレットには、その日だけ作ろうとする色の候補があるのです。前に作った色はそのままで、また使うこともあります。以上のやり方は、TODOリストでも有効です。習慣が増えてくれば、同じようにやってみてください。


色が作られる情報

 メモリストを作ることが、TODOリストを作るきっかけになります。そこから、土日のすることにつながる。つまり、メモを取ることが、土日の姿勢作りに欠かせない一歩なのです。
 メモリストをいじるのは、休み時間がよいと思いますが、メモした方がいい情報は、仕事中にやってきます。パソコンに向かい合っている時、ある場所に移動している時、仕事の話をしている時、トイレに行った時、ふいに、仕事に関係のない言葉が浮かんできます。
 こういう時の言葉は、あからさまに土日に関わる言葉じゃなかったりすることが多いのです。「映画見にいきたい」とか、そんなわかりやす言葉ではない。今の担当じゃないのに営業先の名前だったり、花の名前だったり、あるyoutuberの名前だったり、最初はよくわからなかったりします。
 けれども、そういう言葉こそ、自分の実はしたいことが秘められている可能性がある。なので、すぐにはその意味が分からずとも、メモって、項目にしておくのです。土日の姿勢作りのためには、仕事中でも、不意な言葉をメモるようにしておくのがベストです。どんな情報が、自分の色を作ることになるかわかりません。


子どもの頃の色

 土日の姿勢作りは、平日でこそ可能なのです。平日にこそ、土日を楽しむきっかけが隠れているのです。仕事に疲れて、椅子にもたれる時、少しため息をつく時、自分の身体は、声を発しています。それに耳を澄ませることです。
 その声は、あなたの心の中にずっといました。その声の主は、楽しい気持ちだった時のあなたです。それは大体、自分が子どもの頃です。ただただ楽しい以外の気持ちはなかった、あの時の自分です。
 今はもう、大人になってしまって、なかなか子どもの頃を思い出すことは難しい。けれど、意外と、自分の子どもはうるさいのです。耳を澄ませてみれば、声が聞こえてきます。最初は小さくて聞こえにくいかもしれませんが、こちらが聞く態度を示せば、少しずつ、声量も大きくなってくる。
 土日の姿勢作りを謳ってきたこの文章は、結局のところ、子どもだった時の気持ちを、もう一度、作り直そうという試みでもあったのです。子どもが、身体全身で嬉しいと表現しながら取り組んでいた、夢中だった事を、大人になった今でも、自分だけの習慣として、自分だけの土日として、新しく取り組み直せたらと思います。自分の色は、子どもの頃から変わらないのです。

 

(終)