【短話】沈みたい夕日
沈みはじめました。
これまでなんとか浮かんできたのですが、とうとう、精一杯です。
いろんなひとが、ぼくをながめています。
でも、ぼくをたすけてくれるようなひとはいません。
ほんとうです。ひとりもいないのです。
ぼくにはトモダチがすくないのでしょうか。
そんなはずはありません。きっとだって、まいにちヒトリは、ぼくのことをずっとみているのですから。
でも、はなすことはできません。はなしてはいるのです。
でも、いちどにたくさんすぎて、あいてのみみにはいっていかない。
そのくせして、相手はこっちに話しかけてくる。それも、ぼくのことをまったく無視するようなことをです。
ぽつりと、じぶんのことをそれっポク。
じぶんのことが、イッシュンわかったようなクチぶりで。
だからぼくは、もうしずんでやるのです。