1ルーム

色々な1ルームを作って、シリーズ投稿しています。

【短話】かげの足

夕暮れ時を、ある道のところまで歩いていました。


僕はそのとき、落ち込んでいたんだと思います。


影が、ずっと僕より伸びて、ずっと細かった。


背中は暖かいより暑くて、なんだかボーッとして。


影が、右に揺れた。
影が、左に揺れた。


僕は、まっすぐ歩いていた。
それでも影は、ゆれていた。


ぼくは、たちどまった。


ゆれがおわってほしかった。


でもやっぱり、ゆれていた。
いまにもふたつにわれそうに。


かわいそうなかげ。
ひとりたつぼく。


あしが、あしがかけていった。
ぼくの、かげの、からだから。