2023-06-29 【短話】かげの足 ショートストーリー 夕暮れ時を、ある道のところまで歩いていました。 僕はそのとき、落ち込んでいたんだと思います。 影が、ずっと僕より伸びて、ずっと細かった。 背中は暖かいより暑くて、なんだかボーッとして。 影が、右に揺れた。影が、左に揺れた。 僕は、まっすぐ歩いていた。それでも影は、ゆれていた。 ぼくは、たちどまった。 ゆれがおわってほしかった。 でもやっぱり、ゆれていた。いまにもふたつにわれそうに。 かわいそうなかげ。ひとりたつぼく。 あしが、あしがかけていった。ぼくの、かげの、からだから。