1ルーム

色々な1ルームを作って、シリーズ投稿しています。

【短話】つまらない河

 

僕は河を流れていた。気づいたら河だったのである。視界の周りには、水面しかなかった。そこに流されている。おそらく、かなりゆっくりなスピードで、把握できないギリギリの速度を感じる。足が、ついていない。


上を見上げると、真っ白い空が広がっていた。いや、空だろうか。あまりにもそれは白い。雲が覆っているようなひび割れも見当たらない。その天井はまるで、白い膜で包んでいるような、こちらを柔らかい圧で閉じ込めているような態を滲ませていた。


いつから流れているのだろう。後ろを振り返る。その先もまた、長い長い河が続くだけであって、何の変化もない。首を前に戻しても同じである。面白くない。


面白くない、という感情だけが、自分が浮いている理由であるように思われた。人生とは、河の流れのようだと言う。しかし、そこでつまらないのなら、こうしてただただ流れているだけである。だから、息を吐き切る。