【短話】細い木
ある夜、ぼくはベットですやすやとねていました。
ねていたのですが、ねていることにきづいてしまいます。
ぼくは、ひさしぶりにじぶんの寝姿を、肌で感じることができています。
ちょっぴりうれしい。
腕をまげて、あたまのほうにあげながら、あかんぼうのようにねている。
そのては、かたくしめられています。
でも、だいぶやせたなぁ。そんなことをおもいました。
すると、へやのかどに、まっくらいところに、細い木がたっていました。
そのきはもうかれています。ずっと、ずっとほうちされてきました。
朽ちきったのか、まどからかぜがふいてもびくともしません。
かぜはぜんぶ、彼のなかをとおりすぎてしまう。
きは、そのきは、ずっと、ずっと、てんじょうのほうにあたまをあてていました。
そこから、ぼくをずっと、みてていました。